うさぎがしきりに目をかいている、充血して赤い目になっている、目やにがでている、涙がとまらない、目が飛び出ている……
などの症状に気がついた場合、飼い主は「結膜炎?」「それとも白内障?」と気が気ではない状態になります。
今回はそんなときにみるうさぎの目の病気についての解説と、症状からみた病気について紹介していきます。
うさぎの目の病気について
うさぎの目の病気には以下の5種類があげられます。
- 結膜炎
- 流涙症
- 白内障
- パスツレラ症
- 虹彩膿瘍(こうさいのうよう)
1結膜炎
結膜炎の原因としては
- パスツレラ菌への感染
- アレルギー
- ケージの掃除不足でアンモニア濃度が上がる
- 床敷きのチップなどの刺激
などがあげられます。1番多い原因は、
うさぎの眼科疾患の90%は、「歯並びの問題が関わっている」と言われているように不正咬合が1番の原因です。
結膜炎を放置してしまうと、涙や目やにで目の周りが濡れた状態にあることから、皮膚の炎症を引き起こすこともあります。
また、角膜炎やぶどう膜炎に進行し、さらには緑内障へと進行し、
最悪のケースでは眼球の摘出をおこなわなければならない場合にもつながります。
出典:アレス動物医療センターうさぎの病気 目やに(涙)が多い、眼の充血、眼の疼痛
2流涙症
流涙炎とは涙が目の外にあふれてしまう症状のことを言います。
涙の量が多くなる疾患である角膜炎や結膜炎でも起こるのですが
もっとも多いのは、涙による排泄管、鼻涙管の閉塞によるものです。
鼻涙管とは鼻に続いている管のことで正常な場合、この管を伝って涙は鼻へと流れます。
流涙症をおこしている鼻涙管の閉塞について多くは
- 管に炎症産物や細菌がつまること
- 臼歯、切歯の歯根が管の通過に影響していること
が原因です。
治療は点眼治療や鼻涙管の洗浄などがおこなわれます。
病態により治療はそれぞれ変わってきますが、再発の多い疾患です。
また、涙による湿性皮膚炎(涙やけ)によって皮膚炎が併発する場合もあります。
3白内障
引用:ハート動物病院
白内障とは、さまざまな原因により水晶体たんぱく質が不可逆的に変性して混濁してしまう状態のことを言います。
レンズの部分が変化して濁ってしまい、二度と元に戻らなくなる病気です。
これを軽視して放置してしまうと、さまざまな合併症や視力を失う場合があります。
白内障の原因は感染性・遺伝性が考えられますが、はっきりとした原因は不明であることが多いです。
白内障の治療はただひとつ、手術だけです。
手術により濁った水晶体を取り除き、目の前をスッキリさせるのです。
外科用の顕微鏡と特殊な機器を使った手術になり、手術時間は片眼で約30分ほどです。
やむを得ず手術ができない場合には、内科的治療が選択されますが、効果は期待できません。
ただし、合併症の予防として点眼薬や内服薬は必要になってきます。
点眼薬やサプリメントなどが開発されていますが、
今のところ白内障の特効薬はありません。
白内障は身近な病気であるがために放置されがちです。
しかしながら、放置すればするほど怖い病気なのです。
白内障は正しい診断の元、早期に治療をおこなえば治すことができる病気です。
獣医さんに相談してみて目の検査をおすすめします。
出典:ハート動物病院ウサギの白内障
4パスツレラ症
パスツレラ症の原因はパスツレラ菌(Pasteurella multocida)の感染が原因として起こります。
症状は
- 結膜の充血
- 流涙
- 目やに
がみられます。
鼻涙管炎の場合、とくに流涙が激しく、目の周りが常に濡れることから湿性皮膚炎を併発する恐れがあります。
このとき、鼻涙管部分を圧迫するとたまった白い目やにがにじみでてきます。
パスツレラ菌に感染するとすぐに発症するのではなく
- 環境
- 湿度
- 栄養
- 他の病気
などのストレスが加わり発病します。
多くのうさぎが潜在的にパスツレラ菌を保有していると考えられています。
パスツレラ症の治療には
- 抗生剤の点眼および涙管の洗浄
- 抗生剤の全身投与
- ストレスの排除
の3つがおこなわれます。
パスツレラ感染症を効果的に治すには、発病初期からの抗生剤の投与が好ましいです。
しかしながら、体内のパスツレラ菌は完全に消滅させることが不可能です。
完治したようにみえてもそのうさぎは保菌しており、後々再発したり、感染源になったりする可能性があるのです。
出典:アイリスオーヤマうさぎのパスツレラ感染症(その2:結膜炎・鼻涙管炎)
5.虹彩膿瘍(こうさいのうよう)
虹彩膿瘍(こうさいのうよう)とは、網膜に届く光の量を調整する虹彩に、腫瘍を形成する疾患です。
虹彩と毛様体・脈絡膜をまとめてぶどう膜と呼びますが、虹彩膿瘍とはぶどう膜炎の一種です。
ぶどう膜炎とはぶどう膜(虹彩、毛様体、脈絡膜)に生じる炎症の総称です。
虹彩膿瘍の原因は
- 外傷や角膜にあながあくことによる重度の角膜炎
- 全身の感染症
のふたつにわけられます。
後者の場合は、パスツレラ菌や連鎖球菌といった細菌や、
エンセンファリトゾーンのような原虫が原因の感染症であることが多いです。
症状は、眼房(角膜と水晶体で囲まれた部分)内に
黄色から白色の腫瘍がみられ、腫瘍が水晶体や角膜に癒着している場合などがあります。
治療方法は
- 抗生物質の点眼
- 内服
のふたつをおこないます。
感染が原因で、多頭飼育をしている場合は、感染を防ぐためにすぐに感染したうさぎを隔離しましょう。
虹彩膿瘍は回復することに時間を要する疾患です。
重症な場合には眼球を摘出することもあります。
しかしながら眼の異変はよく観察することで、早期発見することができます。
早期治療により重症化しないように気を付けましょう。
出典:アニコムグループ虹彩膿瘍(こうさいのうよう)
うさぎの目の病気でおこる4つの症状
1.赤く充血
うさぎの目が赤く充血している場合は、考えられる原因はいろいろありますが、
- 結膜炎
- 角膜潰瘍
- ブドウ膜炎
- 緑内障
などの病気が考えられます。
出典:アレス動物医療センターうさぎの病気 目やに(涙)が多い、眼の充血、眼の疼痛
2.涙が多い
うさぎの目に涙が多い場合は
- 流涙症
- 角膜炎
- 結膜炎
- 白内障
などの病気が考えられます。
出典:石川台動物病院うさぎの目の病気
3.目やに
うさぎの目に目やにがある場合は
- 結膜炎
- 角膜潰瘍
- ぶどう膜炎
- 緑内障
- 不正咬合
などの病気や原因が考えられます。
出典:アレス動物医療センターうさぎの病気 目やに(涙)が多い、眼の充血、眼の疼痛
4.目をかく
うさぎが目をかく場合は
- 結膜炎
- 角膜炎
などの病気や、牧草やチップが目に入っている。トイレの刺激臭が原因のことも。
目やにがでてかゆがっていることが考えられます。
出典:うちのうさぎのキモチがわかる本 まるごとうさゴコロ編
5.目が白い
うさぎの目に白い部分を発見した場合は白内障などの病気が考えられます。
出典:ハート動物病院ウサギの白内障
6.目が飛び出る
うさぎの目が飛び出している場合は
- エンセファリトゾーン症(寄生虫)
- 胸腺腫(腫瘍)
などの病気が考えられます。
出典:まきの森・動物病院うさぎの症例紹介
うさぎの目はどうして赤い?
うさぎの目は赤いと思われがちですが、うさぎのすべてがそういうわけではありません。
目が赤いのは、カイウサギのうち身体が白いハクショク種やヒマラヤン種だけなのです。
このカイウサギは身体に色素という色の粒を持っていません。そのため身体が白く、ひとみのまわりにも色がないのです。
人間のひとみは茶色であったり黒であったり水色であったりしますが、
白いカイウサギには色がないため、透明のひとみなのです。透明なので目の奥の血管がすけてみえています。
そのため白いカイウサギの目は赤いのです。
まとめ
飼っているうさぎの涙が止まらなくなり、目の周りの毛が抜ける状況になった経験があります。
結果的に獣医師さんにかかり治療をすることで改善しましたが、目の周りの毛が抜け涙の止まらないうさぎをみているのはとてもつらく、かわいそうでした。
うさぎはストレスに弱く、とてもデリケートな動物です。
ささいなことがきっかけとなり、大きな病気につながってしまいます。また、うさぎは痛みや苦しみを隠す生きものです。
手遅れになるまで気づいてあげられなかったとき、とても後悔することでしょう。
だからこそ少しでも普段との違いに気がついたときは病気をうたがい、動物病院で検査してもらうようにしましょう。
何かあった際に対応してもらえる、信頼できる動物病院をみつけておくことも大事なことです。
出典:アレス動物医療センターうさぎの病気 目やに(涙)が多い、眼の充血、眼の疼痛
出典:石川台動物病院うさぎの目の病気
出典:ハート動物病院ウサギの白内障
出典:アイリスオーヤマうさぎのパスツレラ感染症(その2:結膜炎・鼻涙管炎)
出典:アニコムグループ虹彩膿瘍(こうさいのうよう)
出典:まきの森・動物病院うさぎの症例紹介
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