何も知らずにうさぎを飼いはじめたけど、最近床に向かって足をふみ鳴らすことが多くて困っている。そう「足ダン」です。
- どんな行動なのかよくわからない
- アパート・マンションなので周りの家にも迷惑
- どうにかしてやめさせたい……
そんな悩みを抱えている人は、あなただけではありません。
せっかく家族の一員としてむかえ入れたのだから、しっかりとしたコミュニケーションを図りたいですよね!
ちゃんとうさぎの感情を理解しておかないと、うさぎに不満やストレスをあたえるだけになるかもしれません。
今回は、うさぎが足ダンをする理由といつからはじまるのか? 騒音を減らす防音対策や飼い主さんができるしつけ対策。どうしても足ダンをやめない場合はどうすればいいのか? さらには「地震を予知している」という都市伝説についてもご紹介します。
うさぎの足ダンとはスタンピングのこと
音声あり
うさぎが後ろ足を床にたたきつけ、足をふみ鳴らす行為を、よく『足ダン』と表現することがありますが、正式にはこれを『スタンピング』といいます。
スタンピングは、うさぎが人とともに生活していくなかの、さまざまな場面で見られます。
わたしが飼っていたうさぎも、気に入らないことがあれば、すぐに「ダンッ! 」と足をふみ鳴らしていました。
よく見られる光景として、何もない空間を見つめていると思ったら、突然足ダンしはじめたというのがあります。
飼い主さんには何も見えないので、まるでそこに幽霊がいるかのように感じられることもあるでしょう。しかしご安心ください。
うさぎがスタンピングをするのには、きちんとした理由があるのです。以下ではスタンピングの理由や原因、またスタンピングの対策方法をご紹介していきます。
うさぎの足ダンはいつからはじまる?
うさぎの足ダン行動は子うさぎの頃からおこなわれます。
人間の子供が大声で泣いて気持ちをあらわすように、声帯のないうさぎは、足をふみ鳴らすことで、不満や警戒などの感情をあらわしているのです。
とくに思春期になると、スタンピングする回数が増える傾向があります。
うさぎの思春期は、
- 男の子→生後6~10か月頃
- 女の子→生後4~8か月頃
が一般的です。
この頃にスタンピングをおこなうようになったのであれば、思春期特有の行動ととらえて、様子をみるのもよいでしょう。
※思春期がおとずれる時期には個体差があります。
1日に何度もスタンピングがおこなわれるようであれば、相応の対策をする必要があるでしょう。
うさぎが足ダンする理由は?うれしい?危険を知らせる?
うさぎが足ダンをするのは、主に飼い主さんに自分の気持ちを訴えたいときです。
先にも書いたように、うさぎには声帯がありません。
だから、自分の感情を体全体であらわすしかないのです。
また、うさぎが足ダンをするのは、何か嫌なことがあるとき、不満やストレスを抱えているときが非常に多いです。
まれにうれしくて興奮しているときに足ダンする子もいます。しかし、ほとんどの場合は周囲に自分の不満を訴えています。
たとえば
- 室内が暑いまたは寒い
- 遊んでほしい
- お腹がすいた
- 水がほしい
- 周囲が騒がしくて落ち着かない
- 嫌なニオイや嫌な音がする
その理由はさまざまです。
できる限り早く気づきたいことから、ちょっとしたわがままで遊びたいだけ、また緊急性を要するものまで、そのバリエーションもさまざまです。
大事なのはその見極め。緊急度合いや重要度合いによって、足ダンを聞いたそのときに何をすべきかが変わってきます。
うさぎが突然足ダンするようになった
もし、うさぎが突然足ダン行動をしはじめた場合は、その前後に急な環境変化がなかったかを考えてみましょう。
「普段はおとなしいのに……」「足ダンなんて今までしたことなかったのに……」と、思うことはあるかもしれませんが、うさぎはとてもデリケートな動物。人間が気づかない、ちょっとした変化を感じ取っている可能性もあります。
もし環境変化に思い当たることがあれば、できる限りもとの環境に戻すか、うさぎが安心できる居場所をつくってあげましょう。
また思い当たることがない場合には、一度うさぎのいる環境に寄り添って、じっと観察をしてみてください。今まで知らなかった異音や異臭に気づくことができるかもしれません。
危険を感じなくなることで、足ダンをやめる子や減らす子は多いです。
うさぎの安心できる環境をつくるため、一度うさぎとゆっくりすごしてみてください。
野生と飼いうさぎで足ダンの理由が違います
ペットとして飼われているうさぎは感情表現のために足ダンをします。しかし、野生のうさぎは警告音として足ダンを使用します。
たとえば1羽のうさぎがいち早くカラスの姿を発見します。しかし、おなじ群れの仲間が自分とははなれた場所にいる場合、うさぎは声で危険を知らせることができません。
そこで、足ダンを使うのです。
また、うさぎの多くは穴を掘ってそのなかで生活するので、地下に潜っている仲間にも警告が伝わるようになっています。
1羽でも多くの仲間が助かるための、野生本来の知恵なんですね。
人間といっしょに生活しているペットうさぎのなかにも、警戒の意思として足ダンをする子もいます。
わたしが飼っていたうさぎの場合は、ひどい雷の日に、連続して足ダンしていました。
あまりにもひどいおびえようなので、名前をよんで落ち着かせようとしたら、ケージのなかの巣箱に隠れてしまいました。
うさぎの足ダンは、音が大きく、連続しておこなわれるほど、危険の度合いが高いので、注意が必要です。
もし、短い時間で大きな足ダンを繰り返すようなら、ケージを布で隠すなどして、落ち着かせるようにしましょう。
うさぎの足ダン、夜中は防音が必要?
自分や、それ以外の人、ご近所のためにも、防音対策はおこないましょう。
とくに夜中に足ダンがおこなわれる場合は、ガタガタとうるさいため、不眠症の原因にもなります。
マンションやアパート住まいの場合は、騒音問題に発展する可能性も。
うさぎはもともと薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)の動物です。夜中とまではいきませんが、夕方や明けがたなどのうす暗い時間によく動きます。
わたしのうさぎもそうでしたが、朝がたの5時くらいから、たびたび足ダンする音が聞こえていました(外へだして欲しかったのでしょう)。
当時一軒家だったことや、できる限りの防音対策はしていたので、基本は無視してすごしていました。
しかし、父親が早起きだったこともあり、朝早くににんじんなどをあたえてしまっていたため、足ダンはいっこうに治る気配がありませんでした。
うさぎはとても賢い動物なので、飼い主さんの気をひけることはすぐ覚えます。
もし、夜中の足ダンをやめさせたいのであれば、絶対に構わないようにしましょう。
さもないと、遊ぶときやかまってほしいときなどに足ダンをするようになってしまうかもしれません。
また、うさぎが足ダンをしても放っておけるように、ケージ下に防音マットやすのこをしくなどの対策をおこないましょう。
わが家では、
- 1番下にデスクマット(透明でフローリングに色がつかず、ズレ防止にも役立ちます。)
- その上にジョイントマット(8枚入りで1,000円などで売られています。)
- さらにその上に防音シート(値段はさまざまですが、厚みがあるものがいいです。)
をしいて音が出るのを防いでいました。
いずれもホームセンターにいけば簡単に見つかりますし、ネットでもたくさんの商品が出回っているので、できる対策からおこなっていきましょう!
うさぎの足ダン対策やめないからやめさせるには?しつけの方法
さきほども書いたように、うさぎが足ダンしたときは、なるべくかまわないようにしましょう。
とくに外に出してほしいなどの要求は、出す時間を決めるなどして、うさぎ側にルールを覚えさせる必要があります。
こちらがルールを決めることで、飼い主さんが上というしっかりとした上下関係を示すことができるのです。こうすることで、無駄な足ダンやうさぎのわがままを防ぐことができます。
うさぎはいつもと違うことや、ささいな環境変化で不安になる生きものです。
ふだんから規則正しい生活を送っていれば、それだけ足ダンをする回数も減ります。
また、ケージを置く場所はかならず固定して、静かな環境づくりを心がけましょう。
うさぎの様子をよく観察することも大事です。
いつもとは違うエサをあたえたり、ケージ内の配置を変えたりするだけでも、怒ることがあります。
トイレがきたない場合にも、うさぎは嫌な気持ちになります。
その場合は、うさぎの好みに合わせてあげるようにしましょう。
うさぎは自分のテリトリーに強い執着心を持っています。さらに食にも敏感です。
また、もし足ダンをしたからといって、怒鳴りつけてはいけません。
うさぎが足ダンするときは、不安な感情を抱いている場合が多いので、ますます興奮させるだけです。
飼い主さんができることは、まず、何が原因で足ダンしているのかをつきとめて、その原因を取り除くことです。
その上で足ダンを続けるようであれば、しばらく様子をみましょう。
足ダンするかしないかは性格によっても違ってきます。根気よくつき合っていくことが大事です。
それでもうさぎが足ダンを続けるときは?
部屋の環境を見直すなどの足ダン対策をしても、どうしても改善がみられず、足ダンを続けてしまう場合には、うさぎに何か異常がある可能性があります。
その場合、足ダンは遊ぶ、怒る、かまってほしいなどのただの感情表現ではなく、「痛い・苦しいといったストレスを感じている」という主張であると考えられるのです。
「足ダンをするからこの病気!」という基準はないので、残念ながらこれだけの特徴では何の病気かを特定することはできません。
うさぎの体調を確認するためには、以下のチェックポイントを頼りにしてみてください。
- 耳のなかは汚れていないか
- 目は汚れていないか
- 鼻水が出ていないか
- くしゃみをしていないか
- 歯の長さ・生えかたは適切か
- 皮膚に汚れやキズはないか
- ケガをしていないか
- おしりは汚れていないか
- うんち・おしっこは正常か
- 手足に脱毛はないか
これらのポイントに、ひとつでもあてはまることがあったら、何かしらの病気である可能性が考えられます。
特徴をメモしたうえで、動物病院へ相談してみてください。
うさぎの病気のサインに関しては、こちらの記事でくわしく紹介しています。
▷▷【うさぎの病気のサイン】足や目など12の部位や症状別から病名検索!
うさぎの足ダンのリスク
うさぎの足ダンは、長い間させているとそれなりのリスクをともないます。
足ダンはあくまで本能的な行動なので完全にやめさせることはできません。
ちょっと不満があるときなど、時々やるくらいなら問題はありませんが、あまりに何度も足ダンをする場合には、
- ストレスがたまる
- 悪い覚えかたをしている
- ソアホックの危険性が高まる
などの可能性やリスクが出てきます。
ストレスがたまる
足ダンは基本、何かしらのストレスが原因でおこなうことです。
お腹がすいたから病気で苦しいまで、そのストレスの大小はさまざま。
しかし、そのストレスを長い間放置しておくことで、さらなるストレスが溜まってしまうリスクが伸びるのです。
うさぎがあまりにも長い間足ダンをする場合には、できるだけ早く環境の見直し、または病気の確認をしましょう。
悪い覚えかたをしている
あなたはうさぎが足ダンをした後、すぐにうさぎにかまっていませんか?
足ダンをする理由はさまざまですが、ひとつに「飼い主さんが反応してくれるから足ダンをする」といった悪い覚えかたをしているから、足ダンが止まないという可能性も考えられます。
まず防止するには、緊急性の高い足ダンとそうでない足ダンを見分ける経験が必要になります。
これを実現するには普段からうさぎの様子を観察し、エサや水の補充・トイレ掃除などの環境整備をおこたらないことが大事。
うさぎに異常が感じられなければ、基本足ダンは無視する、という決断も飼い主さんには重要なことです。
ソアホックの危険性が高まる
あなたのうさぎの足裏には、ケガや脱毛はありませんか?
もし炎症などがみられるようなら、「ソアホック」と呼ばれる病気になっているかもしれません。
ソアホックは、足裏の一部が脱毛し、赤く炎症を起こしてしまうことをいいます。
主にかたい床の上ですごすことによる摩擦が原因でこれを発症します。
足を踏み鳴らす足ダンによって、普段歩くよりも強い摩擦を起こすために、あまりに多くの足ダンを続けるとソアホックになるリスクが高まるのです。
ひどくなると痛みをともない、うさぎにストレスをあたえる原因となります。
早めに動物病院へ連れていきましょう。
出典:日本動物医療センター
うさぎの足ダンは地震の前兆ってホント?
地震が起こる前にうさぎが足ダンをしていたという例は、数多く報告されています。
たとえば2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震(ほっかいどういぶりとうぶじしん)でも、発生前後にうさぎが足ダンしていたという声がツイッター上であがっています。
朝からピーがずーっと足ダンしてる‥遠く離れた北海道での地震が分かるのかな‥ #うさぎ #ウサギ #ネザーランドドワーフ pic.twitter.com/7XeRPklyOb
— トモさる (@nwotomo) September 5, 2018
科学者のなかには信ぴょう性がないというかたもいらっしゃいます。しかし、阪神淡路大震災(はんしんあわじだいしんさい)のときもうさぎが暴れまわっていたという例が報告されています。
他にもいくつかの書籍で、地震前のうさぎの様子が記録されています。
わが家のうさぎの場合は、そういった前兆として足ダンするということはありませんでした。だけど、家族ひとりひとりの足音を覚えていたので、地震の予知ができたとしても疑問ではありません。
もっと知りたいというかたがいらっしゃれば、地震関連の本に載っていることが多いので、ぜひ調べてみてください。
うさぎが足ダンするのは幽霊が見えている?
Yahoo!知恵袋にこのような悩みがありました。
更に連続足ダン、先ほど2回目の部屋んぽの時は足ダンに加えてブッブッと声まで出していました。
オヤツで釣ってベッドの下から出そうとしても、怯えて出てきませんでした。今までどんなに長い時間部屋んぽをさせていてもこのように怯えたことがありません。
突然の豹変ぶりに、自分に何か憑いているのでは…とまで考えてしまいます。
本当に見えているかどうかは、うさぎに聞かないとわかりません。
ただし考えられる原因は、
うさぎにしか聞こえない不快な音がする。
- 遠くの鳥の鳴き声
- 低い周波数の音(エアコン・冷蔵庫)
- 携帯電話などの電子音
あとは、本当に見えている……かもしれませんね。
まとめ
あまり長い間足ダンされることが続くと、飼い主さんの気持ちもめいってしまいますよね。
けれど、1番つらい思いをしているのは、足ダンしているうさぎ自身なのです。
- うさぎが足ダンする理由は、自分の気持ちを訴えたいとき。
- 野生と飼いうさぎでは足ダンの理由が違い、野生のうさぎは警告音として足ダンを使用している
- できる範囲で構わないので、防音対策はおこなう
- しつけのためには、なるべく構わないようにする
- 足ダンのさせすぎには注意
- どうしてもやめない場合は、別の原因も考えてみる
- うさぎの足ダンは地震の前兆という噂もありますが、あながち嘘ではなさそう
お互いが気持ちよくすごせるために、周囲の環境にも気を配りながら、徐々にうさぎとの距離を縮めていきましょう。
うさぎを大切に思う気持ちがあれば、かならず相手にも伝わりますよ!
うさぎでそのほかの行動が気になるならこちらの【うさぎの飼い方大辞典】初心者にもわかる77項目のはじめかたガイドが参考になるので、合わせごらんください。
出典:日本動物医療センター
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