うさぎの様子がいつもとちがう!? もしかして病気かも? いつも元気なうさぎが具合悪そうにじっとしていたらとても心配になりますよね。
病気やケガはいつ起こるかわからないもの。いざというときにあせらず対応できるように、日ごろからうさぎの様子をよく観察しておきたいです。
うさぎに起こりやすいうっ滞や不正咬合、感染症なども、できるだけ早く気づいて治療することが肝心。
今回の記事では、うさぎのいろいろな症状から考えられる病気やケガについて紹介します。
うさぎが健康に過ごせるように、病気やケガの症状や対処方法を知っておきましょう。
出典:さかい動物病院
出典:都島本通りどうぶつ病院
出典:みわエキゾチック動物病院
緊急時のうさぎの病気
まずは、うさぎの命にかかわる症状を紹介します。このような症状が出た場合は、すぐに病院に連れていってください。
食欲がない(えさを食べない)
うさぎにとって「えさを食べない」ことは、とても危険な状態です。けっして甘くみてはいけません。
食欲不振をまねく病気はたくさんありますが、
- うっ滞
- 毛球症
- 不正咬合
などがおもな原因です。
どんな病気が原因でも、食べられない状態が続くとうさぎの体調はどんどん悪化していきます。すぐに投薬や点滴などの治療をはじめなければいけません。
食欲が回復しない場合は強制給餌をおこない、消化器を動かすことが大切。日ごろからうさぎの食欲をきちんと把握して、変化に気づけるようにしておきましょう。
神経症状
神経症状は、内耳のパスツレラ菌感染やエンセファリトゾーン症という病気がおもな原因です。
ほかにも、
- 首の神経の損傷
- 脳腫瘍
でも神経症状があらわれることがあります。
神経症状の治療は時間との勝負。発症からできるだけ早くに治療をはじめられるかどうかがポイントです。
下記のような症状がみられたら、すぐに病院に連れていってください。
斜頚(しゃけい)
斜頸とは、首が曲がって戻らない状態のこと。平衡感覚をコントロールする三半規管に炎症が起きることで発症します。体のバランスがうまくとれず、歩きかたがおかしくなったり、おなじ場所をグルグルまわったりします。
眼振(がんしん)
眼振とは、眼球が無意識に上下または左右に動き続けてしまう症状です。
ローリング
ローリングとは、起き上がれず、転がったままグルグルまわり続けること。ローリングが起こっているあいだは、うさぎもパニックになっています。ケージの中で動き続けるとケガをする可能性もあるでしょう。
二次的なケガを防ぐためにも、キャリーケースなどにタオルや毛布を入れ、体が動きすぎないようにしてあげましょう。
けいれん(痙攣)
てんかんやけいれんは意識がなく、体を硬直させている状態。
5分以内におさまる場合がほとんどですが、長く続くようなときは夜間でも診察してくれる病院を探して診てもらいましょう。
てんかんやけいれんを起こしているときは、転倒して頭を打ったり、牧草が目に刺さったりする二次的なケガにも注意が必要。まわりに危険なものがないか確認し、タオルなどクッションを入れて対応しましょう。
高いところから落ちた
うさぎの骨は密度が低いため、ちょっとした力が加わっただけで骨折してしまいます。歩きかたがおかしい、足を引きずって歩いているなど、様子がいつもとちがう場合はすぐに病院に連れていきましょう。
壁などにぶつかった
大きな音にびっくりしてパニックになり、壁などにぶつかったときには骨折の可能性があります。首や背骨が傷つくと、下半身が不自由になってしまうことも。うさぎの様子がおかしいときには、すぐに病院にいきましょう。
電気コードをかじって感電した
口のまわりや口腔内のやけど、ひどいときには肺に水がたまって呼吸困難になる可能性も(肺水腫)。うさぎの様子がいつもと変わらないように見えても、かならず病院で診察を受けましょう。肺水腫ややけどは、時間が経ってから症状が進行することがあります。
感電していることにびっくりして、あわててうさぎに触ると、人も感電してしまうので要注意。まずはブレーカーを落とすか、コンセントを抜き、電気を遮断しましょう。
異物を飲みこんだ(誤飲)
うさぎは一度飲みこんだものを吐くことができません。異物を飲みこむと、中毒症状や腸閉塞で命を落とすこともあるのです。
野菜では、
- ネギ
- 玉ねぎ
- ニンニク
- ニラ
などには、赤血球を壊す成分が含まれ、溶血性貧血という症状が起こります。
チョコレートやしょうが、アボカドなども危険です。
ダンボールや布などを飲みこんだ場合は、腸で詰まって腸閉塞を起こす可能性もあります。腸が詰まると胃にガスが溜まってふくらんでしまいます。そのまま症状が進めば数日で危険な状態に。
異物を飲みこんでしまい、様子がおかしいときはすぐに病院に連れていきましょう。腸閉塞の場合は、手術で詰まったものを取り出すこともあります。
熱中症(ぐったりしている)
体温が上がり、ぐったりして息があらくなります。よだれをたらしていたり、耳が赤くなっていたりすることも。
まずは体温を下げることが重要。涼しい場所に移動させて、水でぬらしたタオルで体を包んだり、スプレーで水をかけたりして体温を下げましょう。処置が済んだら、病院へ連れていきましょう。
暑さで臓器がダメージを受けてしまうと、うっ滞などべつの病気を引き起こす原因にもなります。できるだけはやく処置をしてあげることが重要です。
全身症状
ケガ(外傷、出血)
よくあるケガは、深爪をしてしまったときの出血。カーペットやケージに引っかけて爪が折れるケガも多いです。出血したところを清潔なガーゼなどでしばらく押さえて止血します。出血が止まらない場合は、止血しながら病院へいきましょう。
ガラスで切ったり、うさぎ同士のケンカでケガをしたりした場合は、傷口の大きさによって縫合が必要だったり、消毒や抗生剤の投与も必要です。血が止まっていても、一度病院で診てもらいましょう。
膿瘍(膿が出ている、たまっている)
皮膚のふくろの中に膿がたまったもの。うさぎにはよく起こる病気で、あごのあたりにできやすいです。原因はケガや皮膚炎、歯の根元の細菌感染など。
小さいうちは気づきにくいですが、大きくなるとコブのようになります。切開して膿を取り出し、抗生剤を投与しますが、治りにくく再発もしやすい病気です。
皮膚が赤い
うさぎの皮膚はとても薄く、一度トラブルが起きるとなかなか治りません。早いうちに治療することが大切です。不衛生な飼育環境が皮膚病の悪化につながるので、ケージ内を清潔に保ちましょう。
皮膚が赤くなるのは、
- 細菌感染
- かぶれ
- カビ
- ツメダニ症
- ノミの寄生
などが原因です。それぞれ治療法がことなるので、自己判断で対処せずに診察を受けましょう。
脱毛
- 湿性皮膚炎
- ツメダニ症
などによって、毛が抜けてしまうこと。湿性皮膚炎は涙やけとも呼ばれ、涙が鼻へ抜けずに目からあふれ出ることで皮膚が炎症を起こします。
ツメダニ症はうさぎの皮膚の寄生虫感染としてはもっとも多く、後頭部からおしりのあたりにかけて、脱毛やフケがみられます。かゆみがある場合は、かきむしってしまうため、ばい菌が入って感染症を併発する可能性も。
かゆみ
細菌やカビによる皮膚炎やツメダニ症、ノミの寄生がかゆみを引き起こします。かゆみはうさぎにとって強いストレスとなり、食欲が落ちてしまう子も。できるだけ早い段階で適切な治療をしてストレスを軽減してあげましょう。
しこり(腫れがある)
うさぎの体にしこりがある場合、
・腫瘍
・膿瘍(のうよう)
・リンパの腫れ
・脂肪のかたまり
これらの可能性が考えられます。
腫瘍には悪性と良性があり、細胞を採取して精密検査をしなければどちらかわかりません。膿瘍は、皮膚の下にクリームチーズ状の膿が溜まったもの。
リンパの腫れは、リンパ節に腫瘍ができている場合と、周辺の炎症によってリンパ節が腫れている場合があります。
いずれにしても、自己判断は禁物。気になるしこりを発見した場合は、診察を受けて検査をしてもらいましょう。
頭部
ずっと傾けている
「斜頚」という神経症状が出ています。急いで病院にいきましょう。神経症状の治療は早ければ早いほど、効果が高いです。
耳
耳に異常があると、首を振ったり、うしろ足で耳をかいたりする動作をよくするようになります。
耳をかゆがる
- 外耳炎
- 耳ダニ症
などの可能性があります。
耳ダニは体長0.4~0.7㎜ほどの小さなダニがうさぎの外耳道で繁殖してしまい、ひどいかゆみを引き起こします。耳を何度もかくため傷がついてしまい、べつの感染症をまねくことも。
外耳炎が進行して内耳炎になると、神経症状を引き起こす可能性もあります。早めの処置が必要です。
耳垢が多い
・外耳炎
・耳ダニ症
になっている可能性が高いです。膿などの分泌物が増え、悪臭がすることも。
腫れている
耳にかゆみがあり、うしろ足で何度もひっかくことで、皮膚と軟骨の間に血液や分泌物がたまって腫れてしまう症状を「耳血種」といいます。かゆみの原因となっている病気を治療することにくわえ、腫れに対する治療も必要です。ほおっておくと、耳の変形につながります。
目
目の異常には、
- 鼻涙管閉塞
- 結膜炎
- 角膜炎
- 白内障
- 緑内障
などがあります。
充血している
- 結膜炎
- 鼻涙管閉塞
- 不正咬合
が考えられます。
うさぎの目に関する病気のおもな原因は、歯並びに関係しています。不正咬合で鼻涙管が圧迫されることによって涙が流れにくくなり、感染や炎症を引き起こしているのです。
左右や上下に目が動いている
「眼振」という神経症状が出ています。内耳への細菌感染やエンセファリトゾーン症が疑われるので、急いで診察を受けましょう。
涙や目やにが多い
- 鼻涙管閉塞
- 涙のう炎
- アレルギー
- 結膜炎
- 角膜炎
などが考えられます。涙のう炎では、細菌感染がみられるので、白っぽい粘り気のある目やにが増えます。
目を閉じて痛がる
牧草が目にささったり、うしろ足の爪が目に入ったりして、角膜を傷つけてしまい、角膜炎になっている可能性があります。傷がひどくなると、角膜潰瘍になることも。
目が飛び出ている
- 緑内障により眼圧が上がり眼球が大きくなった
- 目の裏の腫瘍や膿瘍によって目が押し出された
と考えられます。おかしいなと気づいたら、一刻も早く病院に連れていきましょう。
目が白くにごる
・白内障
・緑内障
白内障の場合、初期は手術が可能ですが、症状の進行が速く、最終的には水晶体が溶けてしまうことも。早めの治療が大切です。
口
口に関係する病気には、
・不正咬合
・歯肉炎
など、歯の異常があげられます。
歯が伸びすぎ
「不正咬合」です。歯が伸びすぎて噛み合わせが悪くなり、エサが食べられなくなります。目の病気を引き起こす原因にも。
歯茎や舌が白い
貧血になっていると考えられます。貧血を引き起こすほかの病気にかかっている可能性も。病院で検査を受けて、原因となる病気を治療しましょう。
歯茎が赤く出血している
不正咬合により、伸びすぎた歯が口の中にあたってしまい出血していると考えられます。
鼻
うさぎは鼻呼吸。呼吸器の病気はおもに細菌感染が原因で起こります。
くしゃみ、鼻水
スナッフルとも呼ばれ、パスツレラ菌、黄色ブドウ球菌などの細菌感染によって起こります。はじめはくしゃみや鼻水が出るなど、風邪の初期症状ですが、だんだん進行していきます。悪化するまえに、診察を受けましょう。
呼吸のときに変な音がする
粘り気のある鼻水が出るようになると、呼吸のときに、ズーズー、グシュグシュなどの異常音がするように。パスツレラ菌感染の場合は、症状が悪化すると肺炎や結膜炎、斜頚などを引き起こすことも。治療には抗生剤を使用します。
苦しそうな呼吸
肺炎になってしまうと、呼吸が速く浅くなり、呼吸困難に陥ります。発熱や食欲不振などがみられることも。
早い段階で診察を受け、適切な治療をはじめることが重要です。
手足(四肢)
四肢の病気やケガとして考えられるのは、
・骨折
・脱臼
・ソアホック
などがあります。
歩きかたがおかしい
うさぎの歩きかたがあきらかにおかしいときは、骨折や脱臼など骨の異常が考えられます。
また。歩くバランスが悪いとき、ふらついているときは、神経症状が出ている可能性も。いずれの場合も急を要します。すぐに病院に連れていきましょう。
爪が折れた
ケージの床やカーペットなどに爪を引っかけて折れた場合、出血している部分を清潔なガーゼで圧迫して止血しましょう。消毒や感染予防のために、病院を受診しておくほうが安心です。
腹部
おなかの異常は、消化器の病気、その他の臓器の病気によるものです。
全体的に腫れている
うさぎのおなかがふくらむ原因は、
・胃にガスが溜まっている
・子宮疾患(子宮蓄膿症)
・腹水
・妊娠
・肥満
などが考えられます。
急を要する病気としては、胃にガスがたまっている、子宮蓄膿症、腹水の場合です。一刻も早く治療を受ける必要があります。
陰部、膣
うさぎのメスには生理がないため、膣からの出血は子宮の病気の可能性があります。4才以上のメスうさぎが子宮の病気にかかる割合はかなり高く50~80%と報告されています。
出血
- 子宮腺がん
- 子宮水腫
- 子宮内膜症
などが原因で出血が起こります。
膿が出る
子宮内に膿が溜まる「子宮蓄膿症」が考えられます。
膣から膿が出る症状のほかにも、おなかが張ってくる、食欲が落ちる、呼吸困難などもみられます。
尿
赤い
尿の色が赤い場合、
- 色素尿(正常)
- 血尿(異常)
どちらかの判断が非常に重要。見た目には、わからないことも多いので、自分で判断せず、獣医さんの判断をあおぎましょう。
血尿が出る病気は、
- 膀胱炎
- 尿路結石
- 腎臓疾患
- 子宮疾患
などです。
回数が多い
尿の回数が多くなる病気は膀胱炎や慢性腎不全などがあります。腎不全の場合は、腎臓がうまく機能しないため、透明な尿が多量に出ます。
便(フン)
フンの異常は消化器のトラブルをあらわしています。
便でおしりが汚れている(下痢・軟便)
- 盲腸糞を食糞できていない
- 胃腸の機能低下
- 水分の摂りすぎ
- コクシジウム症
- 細菌、ウイルス感染
などが原因となります。
下痢はうさぎにとっては、危険な状態。適切な治療が何よりも大切です。
便が少ない
- 食欲不振
- 胃腸の機能低下
- うっ滞
- 毛球症
便が小さい
- 食欲不振
- 胃腸の機能低下
- 毛球症
- エサの繊維質が少ない
- ストレス
などが考えられます。
フンの量が急に少なくなったり、サイズが小さくなったりした場合は、胃腸の調子が悪いことを示しています。食欲不振にはさまざまな原因があり、重大な病気が隠れていることも。早めに病院で診てもらうようにしましょう。
行動
転がっている
うさぎがリラックスしているときに、バタンと寝転がることがあります。しかし、転がり続けているようなときは、神経症状のローリングが考えられます。一刻も早く、病院に連れていきましょう。
毛を抜く
かゆみやストレスによって、うさぎは自分の毛を抜いてしまうことがあります。そのことによって、皮膚が傷ついて炎症を引き起こすことも。
毛を抜いて飲みこんでしまうので、毛球症の心配もあります。
うさぎの飼育環境を見なおして、ストレスの原因を解消してあげることが必要です。
まとめ
うさぎの病気やケガの症状について解説しました。
うさぎは痛みやつらさを隠してしまう動物。日ごろの様子をしっかり把握し、いつもと様子がちがうと気づいたら、できるだけ早く対処してあげることが重要です。
うさぎの訴えに気づいてあげられるのは飼い主だけ。うさぎが健康で長生きできるように、どんな病気やケガでも、早期発見、早期治療を心がけることが大切ですね。
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