モフモフの毛並みや丸い瞳、愛らしいしぐさが魅力のうさぎ。おとなになってもかわいいうさぎですが、小さな赤ちゃんうさぎのかわいらしさはたまりませんよね。
うさぎは繁殖力がとても強い動物。品種や体格などにもよりますが、メスは生後4ヶ月くらいから、オスは生後6ヶ月くらいから繁殖が可能になります。
そして、性成熟したオスとメスが一緒に過ごすとかなり高い確率で妊娠します。
繁殖力が強いとはいっても、お母さんうさぎにとって、やはり出産は命がけ。妊娠がわかったら万全の準備をして、安心して出産させてあげたいですね。
今回はうさぎの出産について、必要な準備や産後のケア、飼い主としての心がまえなどをくわしく解説します。
うさぎが出産する時期は?
うさぎに決まった繁殖期はなく、いつでも出産することが可能です。メスうさぎは、4~17日の発情期と1~2日の休止期を繰り返しており、交尾の刺激によって排卵が起こるので高い確率で妊娠します。
1年中出産が可能ですが、
- 夏は気温や湿度が高く、お母さんうさぎが体力を消耗しやすい
- 冬は気温が低いので、生まれた赤ちゃんうさぎの体温維持が難しい
ので、出産させるのであれば春と秋がよいでしょう。
妊娠期間は30~32日で、出産は朝方に多くみられます。
音声あり
うさぎは1度の出産で何匹生まれる?
年齢や体格によって差はありますが、うさぎは3~8匹の赤ちゃんを産みます。多いときには10匹を超えることも。
小型種では少なく、大型種では多い傾向です。また、お母さんうさぎの年齢が上がるにつれて、赤ちゃんの数は少なくなっていきます。
赤ちゃんの大きさ
アナウサギ類の赤ちゃんの体重は40~80gほど。もちろん両親の体格や品種によって差があります。生まれた赤ちゃんは毛が生えておらず、目もまだ開いていません。生後2~3日で毛が生えはじめ、2週間ほどで目が開きます。
うさぎの出産準備をしよう
交尾を確認した日から1ヶ月後には出産を迎えます。
そのあいだに、お母さんうさぎが安心して赤ちゃんを産めるように準備を進めましょう。
巣箱
安心して出産、子育てができるように巣箱を準備します。出産予定日の1週間~5日前にはケージの中に設置しましょう。
巣箱の大きさは、お母さんうさぎがゆっくり寝ころんで赤ちゃんに授乳ができるようなサイズを選びます。
うさぎの出産前の兆候
出産の1週間くらいまえには、おなかのふくらみが目立ってきます。また、食欲や飲水量も増える時期です。
さらに出産が近くなると、お母さんうさぎは巣づくりをはじめます。
- 牧草をくわえて巣箱に運ぶ
- 胸やおなかの毛を抜いて巣箱に敷き詰める
といった行動がみられたら、数日後(なかには数時間後も)には出産です。
出産にかかる時間
安産の場合は1~3時間くらいで赤ちゃんを産み終えます。しかし、お母さんうさぎや赤ちゃんの状態によっては、難産になることも。
また、出産が終わったように見えても、おなかの中に赤ちゃんが残っていて翌日に産むということもあります。
安心して出産を終えられるように、静かな環境で見守りましょう。
お母さんうさぎは、生まれてきた赤ちゃんをなめてきれいにしてあげ、赤ちゃんをつつんでいた羊膜や胎盤を食べます。
ちょっとびっくりする光景かもしれませんが、正常な行動ですので温かく見守ってあげましょう。
うさぎの出産後と子育て
まずは赤ちゃんが元気かどうかを確認します。
お母さんうさぎは、出産後はとくに神経質になっています。赤ちゃんの無事が確認できたら、できるだけ巣箱をのぞいたり、触ったりせずにそっとしておきましょう。
お母さんうさぎを刺激してストレスを与えてしまうと、育児放棄をしてしまうことがあります。
産後1週間くらいはケージの掃除も最小限にして、エサと水の交換だけを短時間でおこないましょう。
産後のお母さんうさぎは赤ちゃんに栄養満点の母乳をあたえるために、たくさんのエサを食べます。高たんぱくのペレットやアルファルファを多めにあたえるようにしましょう。
うさぎの子育ては基本的にドライで、1日に1~2回、5分程度、授乳をするだけです。
お母さんうさぎの性格にもよりますが、授乳以外の時間は巣箱には戻らず、別の場所で過ごすことも。
もともと野生で暮らすうさぎには天敵が多く、赤ちゃんの存在をできるだけ目立たせないための習性なので、「育児をしていない!」と心配しすぎなくても大丈夫。
赤ちゃんうさぎは、1回の授乳で体重の約20%もの母乳を飲みます。
授乳は早朝におこなうことが多いため、授乳しているすがたを見られないことが多いかもしれません。だけど、赤ちゃんのおなかが膨らんでいればじゅうぶんに母乳を飲むことができています。
逆に、皮膚がシワシワしていておなかが膨らんでいない赤ちゃんは母乳を飲めていません。
その場合は人工哺乳に切り替える必要があります。
ミルクの作りかた
お母さんうさぎが子育てをしない場合は、人工哺乳が必要となります。まずは、
- うさぎ用のミルク(入手できない場合は、猫用ミルクや牛乳に乳酸菌をくわえたもの)
- スポイト、シリンジ
- 体重計(キッチンスケール)
- タオルやガーゼ
- コットン
を用意します。
- ミルクは39℃くらいに温めて、スポイトやシリンジに入れる
- 小さいタオルやガーゼで赤ちゃんをくるみ、ミルクを入れたスポイトを口もとに近づけて飲ませる
- 飲む量が少ない場合は1日5~6回、たくさん飲む場合は2回程度、ミルクをあたえる
- ミルクを飲ませたあとは、ぬるま湯でぬらしたコットンで下腹部やおしりをやさしくさすって排せつをうながしてあげる
赤ちゃんがじゅうぶんにミルクを飲めているかどうか、1日に1回体重を量って確認します。
赤ちゃんに触る場合は、お母さんうさぎに見えないところで、できるだけ人間のにおいがつかないように手袋などをしてください。
出産が死産だった場合
生まれてきた赤ちゃんうさぎが死産だった場合は、すぐに元気な赤ちゃんから離す必要があります。
赤ちゃんたちは寄り添って体温を保っているため、冷たくなってしまった赤ちゃんと一緒にいると体温がうばわれてしまいます。
残念ながら死産だった赤ちゃんは、庭などに埋めてあげるか、動物霊園やお寺などで火葬してもらいましょう。
死産の確率
うさぎは子だくさんですが、なかには出産途中のトラブルやおなかの中での発育不全などが原因で赤ちゃんが亡くなってしまうケースもあります。
あるブリーダーさんの繁殖記録によると、8年間の繁殖記録で4匹に1匹の確率で死産だったとのこと。とくに初産の場合、死産の確率があがるようです。
出典:キャロットハウス
まとめ
繁殖力の強いうさぎですが、出産にはさまざまなリスクがあります。
うさぎが安心して出産できるように、下記のポイントに気をつけましょう。
- 出産や育児に適した季節に繁殖を計画する
- お母さんうさぎにストレスをあたえないようにする
- 赤ちゃんにはできるだけ触れない
- 人工保育の準備をしておく
- 産後のお母さんうさぎには高たんぱくのエサを多めにあたえる
うさぎの繁殖力を考えると、出産させること自体は難しくないのかもしれません。
しかし、生まれてくる赤ちゃんたちを、責任を持って迎えられるのか? お母さんうさぎの体への負担はないか? など、繁殖させるまえにしっかりと考えて決断する必要があります。
お母さんうさぎと生まれてきた赤ちゃんたちが、元気で幸せに暮らせるように、出産と子育てを見守り、応援しましょう。
出典:うさぎの生態
出典:どうぶつ親子手帳
出典:小動物ビギナーズガイド ウサギ 誠文堂新光社
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