うさぎを飼おうとするときに、たくさんかわいいうさぎがいてどの子にするか迷ってしまうことがあると思います。また、うさぎを1羽飼いはじめたらもう1羽家族に迎え入れたくなることも。
だけど、うさぎの多頭飼いはとてもむずかしいことが多く、仲よくなってもらうためにも飼い主さんがしっかりと知識を身につけておく必要があります。
今回は、うさぎの生態や多頭飼いの知識を知り、仲よしでステキな家族になれる多頭飼いの方法をお伝えします。
うさぎの多頭飼い【仲よしで飼えるの?】
うさぎが仲よしになるかどうかは、うさぎ同士の相性が1番重要。
- あとからもう1羽をお迎えする場合は、先にいたうさぎの性格が変わってしまう可能性がある
- 1羽が病気になると、もう1羽にうつってしまう可能性がある
このようなことに注意しましょう。
もともとペットうさぎの場合は、1羽だけでいることによりさみしいと感じることはありません。
むしろ自分だけに愛情をそそいでくれて、自分だけの縄張りを持っているほうがストレスなくおだやかに過ごせることが多く、うさぎは毎日変わらない日常が好みです。
そんな中で、新しいうさぎがやってくるということは、先にいたうさぎにとっては大きな環境の変化! 新しくお迎えしたうさぎもまた、家族に迎え入れられたことは大きな環境の変化です。
そのため、飼い主さんの気づかいやお世話のしかた、そしてうさぎ同士の相性がとても大事になってきます。
うさぎ同士の相性が合わないと、大ゲンカになってしまうことも。
相性が合わないうさぎ同士は、無理に仲よくさせようとはしないでください。徐々に仲がよくなっていく可能性もあるので、時間をかけてゆっくりうさぎ同士を慣れさせていきましょう。
それでも仲がよくなる気配がなければ、別々のお部屋でそれぞれのうさぎをお世話してかわいがってあげてください。
こちらは、仲のよいうさぎの映像です。
音声あり
とっても仲よしですね。こんなに仲よくなってもらえたら、毎日とても楽しいうさぎたちとの日常を過ごすことができますね。
オス同士の場合
うさぎは縄張り意識がとても強い動物です。そのため、オス同士の場合は、大ゲンカになることもよくあります。
オス同士でうさぎを飼おうと思ったときには、
- ケージの置きかた
- うさぎをお部屋でお散歩させる「へやんぽ」やごはんの順番
- 先にお家にいたうさぎの縄張りの把握
などに注意しなければなりません。
また、オス同士で飼うときには去勢をすることを、獣医さんにも相談しながら考えてみてください。
去勢をすることによって、性格がおだやかになることもあります。しかし、去勢をしてもケンカをするうさぎもたくさんいます。そのため、去勢をしたからといって安心できるわけではありません。
メス同士の場合
メス同士の場合は、オスほどの大ゲンカをすることは少なく、その子の性格によっては相性がよく仲よしになれるうさぎもいます。しかし、相性が合わない場合はひどいケンカになることもありますので、その場合は注意が必要です。
オスメスの場合
うさぎは、つねに繁殖能力が高い動物です。
オスメスで飼う場合は、一緒にいる時間をつくると繁殖行為をおこない、どんどん子どもが増えていきます。
繁殖させるつもりがないなら、去勢、避妊手術をすることを検討してください。
繁殖させる場合も、子どもを産んだ後でオスとメスをいっしょにしておくと、またすぐに子どもができてしまいます。
家族でいっしょに過ごさせてあげたい気もしますが、メスの体には1度の妊娠、出産でもかなりの負担がかかるので、「間をあけずに2度目の妊娠」とならないように注意しましょう。
兄弟姉妹の場合
兄弟姉妹の場合でも、相性が合わなければケンカになります。兄弟姉妹で仲よくなってほしい気持ちはわかりますが、その子同士の相性をみて判断しましょう。
また、近親交配になると子うさぎの健康にも影響します。近親交配とならないように注意してください。
うさぎの多頭飼い【ケージの置きかた】レイアウト
オス同士
オス同士はケージを離して置きましょう。できれば部屋自体もわけて、それぞれの縄張りをつくってあげるのが理想です。また、ケージから出す時間も別々にしましょう。
メス同士
ケージは別々にします。
最初にケージ越しで近づけて徐々にお互いを慣れさせます。攻撃的な反応で、それがおさまらないようならオスとおなじくケージを離して置きましょう。
オスメス同士
ケージは別々にします。相性が悪いようならケージは離しましょう。
兄弟姉妹
こちらもケージは別にします。
ケージは、1羽のうさぎにたいしてひとつが基本です。
仲よしになり、一緒にお部屋の中で遊ぶことがあっても、1羽1羽の居場所は確保してあげてください。
うさぎの多頭飼い【ストレスのチェック方法】
動物界の上下関係
うさぎの群れには上下関係があり、下位になってしまったうさぎは、毎日ストレスが多い生活を送ることになる可能性があります。
うさぎの本能ですので、上下関係をなくすことはできませんが、飼い主さんが目を離さず、すぐに気づいて対策してあげることが大切です。
発情によるストレス
オスメス同士で飼っている場合は、発情によるストレスも大きいです。
繁殖させるつもりがないのであれば去勢、避妊手術をすると、そのストレスは和らぐことがあります。
手術をする場合は、かかりつけの獣医さんに相談してメリットデメリットをしっかり聞いてから判断してください。
ヤキモチ
最初に1羽で長い間うさぎを飼っており、途中から新たなうさぎをお迎えする場合は、飼い主さんが最初にいたうさぎの気持ちをしっかりと理解してあげる必要があります。
最初にいたうさぎは今まで自分にだけそそがれていた愛情が、新しいうさぎにもそそがれることでヤキモチをやくことがあるからです。
どちらのうさぎもおなじ愛情を持って育てていくのはもちろんですが、最初にいたうさぎには今まで以上に愛情をちゃんと伝えていくことを意識してください。
うさぎの多頭飼い【ケンカ・マウンティングになったら】
うさぎ同士のケンカ
ケンカになった場合は、激しい大ゲンカとなることが多く、ときには死に至ることもあります。
とくにオス同士の場合は注意が必要です。ケンカになりそうな険悪なムードならすぐに別々の部屋に移動させてください。また、ケンカになってしまった場合はすぐに飼い主さんが止めてください。
マウンティング
オスメスの場合だと繁殖行為によるもので、愛情表現のひとつでもあります。
繁殖させる気がないのであれば注意しましょう。
マウンティング行為は、同性同士でもおこなうことがあります。
これは、自分のほうが上の立場だとわからせるためにしている行為です。エスカレートすると大ゲンカにつながるので、飼い主さんが止めに入って、引き離してください。
こちらは、ケンカに発展しそうなうさぎたちです。
音声あり
このようにクッションなどで止めに入るのもいいですね。
まだお互いに警戒しているようすであれば、これから仲よくなる可能性もあります。ゆっくり慣れさせていきましょう。
こちらは、かなり激しいケンカをしているうさぎたちのようすです。
音声あり
ケガをする可能性もあるので、飼い主さんが止めに入ってあげましょう。
このように激しいケンカになったら仲よくなることはむずかしいかもしれません。
とりあえずは1度ケージに戻して落ち着かせて、飼い主さんが気をつけながらようすをみていきましょう。
うさぎの多頭飼い【うさぎ同士のあぶない行動】
一方的に攻撃する
発情しているときは、興奮して相手を攻撃することがあります。
それ以外で一方的に攻撃をしている場合は、どちらかのうさぎに問題があります。
たとえば、先におうちにいたうさぎのパーソナルスペースに、あとからおうちにきたうさぎが入ってしまった場合などは、攻撃をすることがあります。
そのような場合は、すぐにお互いを違う部屋に離しましょう。
鼻をくっつける
いっけん、仲よくみえる行動ですが、噛みつかれないように警戒しながらお互いのにおいを嗅いでいます。すぐに離れることができる体勢をとって、相手のようすをうかがっているのです。
そのまま仲よくなれることもありますが、ケンカに発展する可能性もあるので、飼い主さんも目を離さずにようすを見守ってあげてください。
急に仲が悪くなる
小さいころに仲がよくても、それがずっと続いていくとは限りません。
思春期になると、それぞれの性格ができあがってきて主張も激しくなります。その場合は、それまでおなじ空間で育ててきたとしても、1度お互いを離してようすをみましょう。
うさぎの多頭飼い【うさぎ同士のかわいい行動】
おしりのにおいを嗅ぐ
うさぎは、においで情報収集をおこないます。
はじめてのうさぎに会ったら、おしりのにおいを嗅いで情報交換をします。性別や年齢、健康状態などもわかるんですよ。
口のまわりのにおいを嗅ぐ
仲のよいうさぎ同士は、口のまわりのにおいを嗅ぎあって情報収集をすることもあります。
くっつく
うさぎは、せまいところや、なにかに寄り添っていることで安心します。これは、野生の本能からくるものです。野生のうさぎは、うまれたときから巣穴の中で家族とピッタリくっついて育ちます。
くっついているのは、仲がいい証拠です。ペットうさぎは1羽でもさみしくない子が多いですが、うまれたときからつねにくっついて過ごしているうさぎは、逆に1羽になると不安になってしまう子もいます。
毛づくろい
これは、うさぎ同士の親愛の表現です。お世話好きのうさぎが相手のうさぎの毛づくろいをしてあげることがあります。
シンクロする
うさぎは、まわりと行動をともにすることで安心する動物です。
一緒にごはんを食べたり、お水を飲んだり、気がつけばおなじ行動をしています。
これはうさぎ同士に限らず、飼い主さんに対しても同じです。飼い主さんがごはんを食べはじめると、うさぎも一緒にごはんを食べて行動をともにし、安心感を得ています。とっても愛らしい行動ですね。
しかし、「足ダン」やパニックもシンクロすることがあります。
そんなときは、飼い主さんが「大丈夫だよ」という態度を示してあげれば落ち着いてくれるでしょう。飼い主さんも一緒になってパニックや不安になってしまったら、それはうさぎにも伝わりますので、飼い主さんはどしっとかまえていてください。
うさぎの多頭飼い成功させる方法
相性がよいと確信が持てるまで、ケージの外でのうさぎ同士の接触はさけてください。
- ケージは必ず別々で、1羽に1ケージを用意します。
- 世話をするときは、先にいたうさぎを必ず優先してください。
- 遊ばせるスペースもできれば別にしましょう。
相性が合わない場合、お互いにストレスとなってしまうので、ケージを離して置くことや、部屋を別にしてください。
飼い主さんは、うさぎ同士を接触させるときには絶対に目を離さないでください。
まずは環境に慣れてもらうことが大切です。うさぎ同士を慣れさせる前に、お家の環境に慣れてもらいましょう。
ファーストコンタクトで相性が合わないと思っても、これから仲よくなれる可能性もあります。焦らずにゆっくり慣れさせていきましょう。
相性が合わない場合は、無理に仲よくさせようとせずに、それぞれの縄張りの中でお世話をしていきましょう。
まとめ
多頭飼いの場合はうさぎ同士の相性によって仲よくなることも、なれないこともありますが、飼い主さんが知っておくべきこと、注意すべきことは、
- うさぎの性格が変わってしまう可能性もあります。
- 1羽が病気になったときはもう1羽にうつることもあるので注意しましょう。
- うさぎ同士の上下関係を理解し、お世話をするときの順番は先にいたうさぎを優先にするようにしましょう。
パーソナルスペースはその子によってちがいます。様子をみながら、ケージを離したり、部屋を別々にしたり、うさぎ同士のお互いの縄張りをくずさないようにしましょう。
仲がよくなると
- お互いに毛づくろいをしてお世話をし合う
- ごはんをちゃんと食べる
- いっしょに仲よく遊ぶ
など、いいこともたくさんあります。
また、オスメス同士の場合は、自分の飼っているかわいいうさぎたちの子孫を残すこともできます。子どもをつくるときには、かかりつけの獣医さんにしっかり相談しながらにしましょう。
しかし、飼い主さんのがんばりも必要ですが、やっぱり1番大事なのはうさぎ同士の相性です。仲よくなってほしくて飼い主さんがいろいろと工夫をしても、仲よくなれないこともあります。
そのときは、無理に仲よくさせることはしないでください。また、1羽ずつ離してお世話をするときも、どちらも変わらない愛情でたくさんかわいがってあげてくださいね!
出典:(書籍)【新版】写真いっぱい!かわいいうさぎ品種&飼い方
監修 さいとうラビットクリニック院長 斉藤久美子
(書籍)うさ語辞典
[監修]らびっとわぁるど 中山ますみ
(書籍)もっともっと知りたいうさぎのきもち うさ語レッスン帖
一級愛玩動物飼養管理士 中山ますみ・監修
(書籍)もっと知りたいうさぎの秘密「うさごころ」がわかる本
シャンテどうぶつ診療所 寺尾順子 監修
井口病院 イラスト
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